約束の結婚を君と 2024/12/24 Tue 結婚の約束を君と リンゴンリンゴン教会の鐘が鳴る。 うららかな5月の訪れ。ステンドグラスが日差しを染めて聖堂の床を色鮮やかに彩っている。司会者の合図とともに、チャペルの扉が開け放たれ新婦とその父親が入場。ガラス張りの天井から降る黄金の陽射しが花嫁を幸福の色に仕立て上げる。 それは誰もが憧れる人生のハイライト的情景。結婚式は女性のためにあるようなものと言う人もいるが、愛しい妻の晴れ姿を目近に焼き付けることのできるのは隣に並ぶ花婿の特権。僕はあこがれていた。 隣でシロツメクサを紡いでいる一人の天使。ふっくらもちもちのほっぺに桜色の唇を埋め小さく息をしている。 都会にぽっかり現れた桃源郷のような花畑。ここは僕らの遊び場。巽より一足先にシロツメクサで冠を編み上げた僕は、もう夢中になってしまっている彼の頭にそっとそれを被せた。 ピクリ、と首をすくませ、恐る恐る頭上の何かに手を伸ばす。そしてそれが何であるか認めた瞬間、ほろりほろりと笑みの桜をほころばす。言葉の代わりに僕の手を取り、その紅葉型の小さな指で仕立てた花の指輪を僕の薬指に嵌めた。 「俺と結婚してください」 彼の口からこの言葉が聞けるのはもう少し先のお話。今は 「おれ俺さんと大きくなったら結婚したいです」 甘い活舌で立派に敬語を使いこなす彼はアンバランスなようで釣り合いの取れた奇跡的な存在。輪をかけられた僕の指に小鳥のキスを落として満足そうに微笑む。僕はそんな男前な花嫁の、まあるい頭に手を添えて彼の左の瞼にちゅっと小さく口づけをした。 雲が流れて優しげな太陽が顔をのぞかせる。黄金の陽射しが天から降ってきて僕らを包み込む。ここは僕らの花園、エデンの園。 二人で抱き合って、ここまで温かい人間の体温を僕は知らない。
リンゴンリンゴン教会の鐘が鳴る。
うららかな5月の訪れ。ステンドグラスが日差しを染めて聖堂の床を色鮮やかに彩っている。司会者の合図とともに、チャペルの扉が開け放たれ新婦とその父親が入場。ガラス張りの天井から降る黄金の陽射しが花嫁を幸福の色に仕立て上げる。
それは誰もが憧れる人生のハイライト的情景。結婚式は女性のためにあるようなものと言う人もいるが、愛しい妻の晴れ姿を目近に焼き付けることのできるのは隣に並ぶ花婿の特権。僕はあこがれていた。
隣でシロツメクサを紡いでいる一人の天使。ふっくらもちもちのほっぺに桜色の唇を埋め小さく息をしている。
都会にぽっかり現れた桃源郷のような花畑。ここは僕らの遊び場。巽より一足先にシロツメクサで冠を編み上げた僕は、もう夢中になってしまっている彼の頭にそっとそれを被せた。
ピクリ、と首をすくませ、恐る恐る頭上の何かに手を伸ばす。そしてそれが何であるか認めた瞬間、ほろりほろりと笑みの桜をほころばす。言葉の代わりに僕の手を取り、その紅葉型の小さな指で仕立てた花の指輪を僕の薬指に嵌めた。
「俺と結婚してください」
彼の口からこの言葉が聞けるのはもう少し先のお話。今は
「おれ俺さんと大きくなったら結婚したいです」
甘い活舌で立派に敬語を使いこなす彼はアンバランスなようで釣り合いの取れた奇跡的な存在。輪をかけられた僕の指に小鳥のキスを落として満足そうに微笑む。僕はそんな男前な花嫁の、まあるい頭に手を添えて彼の左の瞼にちゅっと小さく口づけをした。
雲が流れて優しげな太陽が顔をのぞかせる。黄金の陽射しが天から降ってきて僕らを包み込む。ここは僕らの花園、エデンの園。
二人で抱き合って、ここまで温かい人間の体温を僕は知らない。